法事とは?四十九日・忌明け・年忌法要・十三仏までわかりやすく解説

目次

法事とは?

法事(ほうじ)というと、現在では一般に、四十九日や一周忌など、亡くなった人を供養するために行う仏教の儀礼を思い浮かべると思います。

しかし、「法事」という言葉は、本来、死者の供養だけを意味するものではありません。

法事の意味

「法事」の「法」は、仏法、つまり仏さまの教えのことです。

もともと法事には、仏法に関係するさまざまな意味があり、

  • 真理(法)というもの(事)
  • 教団がなすべき事がら
  • 仏法を宣揚することや、その修行
  • 仏法と関連する儀式
  • 死者の冥福を祈り、善根を積むために仏を供養すること

などの意味が挙げられています。

つまり、「法事=死者の供養」という意味だけではなかったわけです。

日本では平安時代以後、しだいに死者を供養する意味で使われるようになり、江戸時代以後には、もっぱら死者の追福のために行う忌日法要(きじつ・ほうよう)を「法事」と呼ぶようになりました。

現在、四十九日や一周忌、三回忌などを「法事」と呼ぶのは、こうした歴史によるものです。

追善供養とは?

現在の法事を理解するうえで大切なのが、「追善供養(ついぜんくよう)」という考え方です。

「追善」とは、亡くなった人が死後に幸福(冥福/めいふく)を得られるように、その人にゆかりのある生存者があとから追って善いことを実践することです。

たとえば、仏さまを供養したり、僧侶に読経してもらったりすることなどを通して善根(ぜんこん/善い行い)を積み、その功徳を故人の冥福のために振り向けます。

つまり法事は、単に故人を思い出すための行事ではありません。

亡くなった人が幸福になるように、生きている私たちが、その人のために善い行いを実践することです。

これが、仏教における追善供養の基本的な考え方です。

中陰とは?

中陰(ちゅういん)とは、人が亡くなってから、次の生を受けるまでの期間のことです。「中有(ちゅうう)」ともいいます。

仏教では、生きものは死によってすべてが終わるのではなく、生まれ変わりを繰り返す「輪廻(りんね)」という考え方があります。

そのなかで、亡くなってから次の生を受けるまでの中間の状態が「中陰」です。

日本では、この中陰の期間を四十九日間とし、その間、亡くなった人が冥福を得られるように、七日ごとに追善供養を行ってきました。

初七日から四十九日まで

中陰の四十九日間には、七日ごとに忌日(きじつ)があり、それぞれの日に法要を営みます。

「忌」とは、身をつつしむという意味があります。

  • 初七日(しょなのか)……7日目
  • 二七日(ふたなのか)……14日目
  • 三七日(みなのか)……21日目
  • 四七日(よなのか)……28日目
  • 五七日(いつなのか)……35日目
  • 六七日(むなのか)……42日目
  • 七七日(なななのか)……49日目

最初に迎えるのが「初七日」、最後の七七日が、一般にいう「四十九日」です。

これらの法要も、先ほど説明した追善供養です。

つまり、亡くなった人が冥福を得られるように、その人にゆかりのある生存者が、あとから追って善いことを実践します。

現在では七日ごとの法要をすべて行うことは少なくなり、初七日と四十九日を中心に法要を営むことが一般的になっています。

四十九日とは?

四十九日(しじゅうくにち)は、亡くなってから49日目にあたり、七日ごとの忌日の最後となる七七日(なななのか)のことです。

中陰の最後にあたるため、四十九日は数ある忌日のなかでも特に重要な日とされてきました。

この日をもって中陰の期間が満了することから、四十九日は「満中陰(まんちゅういん)」とも呼ばれます。

四十九日の法要を終えると中陰が終わり、一般に「忌明け(きあけ)」となります。

百カ日とは?

四十九日の次に迎える大きな忌日が、百カ日(ひゃっかにち)です。

その名のとおり、亡くなってから100日目に行われる法要で、「百カ日忌」ともいいます。

四十九日までの中陰の法要が終わったあとにも、故人のための追善供養は続きます。その最初の節目となるのが百カ日です。

百カ日の法要も、亡くなった人が冥福を得られるように、遺族などが善い行いを実践する追善供養の一つです。

現在では、四十九日に比べると百カ日の法要を省略する場合もありますが、仏教における忌日の一つとして現在まで受け継がれています。

忌明けとは?

忌明け(きあけ)とは、身をつつしんで過ごす「忌」の期間が終わることをいいます。

仏教の葬送では、一般に亡くなってから四十九日までを中陰の期間とし、四十九日(満中陰)の法要を終えると、「忌明け」となります。

かつては忌の期間中、遺族は祝い事への参加などを控え、故人のための供養に努めました。

そして忌明けを一つの区切りとして、日常の生活へと戻っていきます。

現在でも四十九日は、単に七日ごとの法要の最後というだけではなく、故人を供養する中陰の期間を終え、遺族にとっても一つの節目となる日と考えられています。

月忌と祥月命日

四十九日や百カ日を過ぎたあとも、故人を供養する日は続きます。

そのなかでも、毎月めぐってくるのが「月忌(がっき)」、毎年めぐってくるのが「祥月命日(しょうつきめいにち)」です。

月忌とは?

月忌(がっき)とは、毎月めぐってくる、故人が亡くなった日と同じ日のことです。「月命日(つきめいにち)」ともいいます。

たとえば、9月10日に亡くなった人の場合、毎月10日が月忌にあたります。

寺院や地域によっては、月忌に僧侶が檀家の家を訪れて読経する「月参り」を行うこともあります。

祥月命日とは?

祥月命日(しょうつきめいにち)とは、毎年めぐってくる、故人が亡くなった月日と同じ日のことです。

たとえば、9月10日に亡くなった人の場合、毎月10日は月忌ですが、毎年9月10日が祥月命日となります。

「祥月」は、もともと一周忌を意味する言葉でした。

古代中国の礼制では、一定期間の喪を経て行う祭儀を「祥」といい、『礼記』では一周忌の祭りを「小祥」、二周忌の祭りを「大祥」と呼ぶ用例があります。

日本では、毎年めぐってくる故人が亡くなった月を「祥月」と呼ぶようになり、その月の命日を「祥月命日」と呼ぶようになりました。

年忌法要とは?

年忌法要(ねんきほうよう)とは、故人の祥月命日にあわせて、決められた年に行う追善供養の法要です。

四十九日や百カ日を終えたあとも、故人のための追善供養は続きます。その節目として行われるのが、一周忌、三回忌、七回忌などの年忌法要です。

一周忌・三回忌・七回忌

主な年忌法要は、次のように行われます。

  • 一周忌……亡くなって満1年
  • 三回忌……亡くなって満2年
  • 七回忌……亡くなって満6年
  • 十三回忌……亡くなって満12年
  • 十七回忌……亡くなって満16年
  • 二十三回忌……亡くなって満22年
  • 二十七回忌……亡くなって満26年
  • 三十三回忌……亡くなって満32年

このほか、三十七回忌、五十回忌などを行う場合もあります。

なぜ三回忌は亡くなって2年後?

少し分かりにくいのが、三回忌が亡くなって3年後ではなく、2年後に行われることです。

これは、亡くなった日を最初の忌日として「一回目」と数えるためです。

亡くなった日が1回目、その翌年の命日が2回目、さらに翌年が3回目となるので、亡くなって満2年の祥月命日が「三回忌」になります。

ただし、最初の年だけは「二回忌」とはいわず、「一周忌」と呼びます。

年忌法要はいつまで行う?

年忌法要をいつまで行うかは、宗派や寺院、地域、家の習慣などによって異なります。

一般には、三十三回忌や五十回忌などを最後の年忌法要として、それ以後の個人としての法要を終えることがあります。

このように、年忌法要を最後にすることを**「弔い上げ(とむらいあげ)」**といいます。

つまり、年忌法要には「必ず○回忌まで行わなければならない」という一律の決まりがあるわけではありません。菩提寺がある場合は、その寺院の習慣に従うのがよいでしょう。

二つ以上の法事が重なったら?

法事は、できれば故人一人ひとりについて営むのが望ましいとされています。

しかし、たとえば「父親の十三回忌」と「祖母の三十三回忌」が同じ時期に重なることもあります。

それぞれ別々に法事を営むと、日程や費用などの負担も大きくなるため、二つ以上の法事を一緒に営むことがあります。

併修・合斎とは?

二つ以上の法事をまとめて営むことを、「併修(へいしゅう)」または「合斎(がっさい)」といいます。

ただし、昔からの習わしとして、七回忌くらいまでは故人一人だけの法要を営み、忌日の法要と年忌法要は併修しないとされています。

併修や合斎を考えている場合は、地域や寺院によって習慣も異なるため、事前に菩提寺へ相談するとよいでしょう。

忌日・年忌と十三仏

初七日から四十九日までの忌日や、その後の百カ日、一周忌、三回忌などには、それぞれ十三仏(じゅうさんぶつ)と呼ばれる仏さま・菩薩さま・明王さまが配されています。

十三仏とは?

十三仏とは、初七日から三十三回忌までの忌日・年忌に配された十三の仏・菩薩・明王のことです。

それぞれの忌日・年忌には、「守り本尊」として十三の仏・菩薩・明王が配されています。

日本では、四十九日までの七日ごとの忌日に、百カ日・一周忌・三回忌を加えたものが「十仏事」とされ、さらに七回忌・十三回忌・三十三回忌を加えて「十三仏事」となりました。

初七日から三十三回忌までの十三仏

それぞれの忌日・年忌と十三仏は、次のとおりです。

  • 初七日……不動明王
  • 二七日……釈迦如来
  • 三七日……文殊菩薩
  • 四七日……普賢菩薩
  • 五七日……地蔵菩薩
  • 六七日……弥勒菩薩
  • 七七日(四十九日)……薬師如来
  • 百カ日……観世音菩薩
  • 一周忌……勢至菩薩
  • 三回忌……阿弥陀如来
  • 七回忌……阿閦如来
  • 十三回忌……大日如来
  • 三十三回忌……虚空蔵菩薩

こうして見ると、初七日から三十三回忌までの法事と十三仏が、一つの体系として結びついていることが分かります。

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この記事を書いた人

はじめまして。木村整民です。
天台宗の僧侶・仏教学研究者として、インド仏教や日本仏教を研究しています。
Buddha AIでは、仏教を分かりやすく伝える記事や、AIを活用した仏教学習・翻訳・チャットボットの開発について発信しています。

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